しあわせになるインプラント 費用
入れ歯であげた欠点は完全にクリアされます。
以下にその長所をまとめ噛む力が天然歯と変わりません。
繰り返しになりますが、これは人工歯根を顎の骨に埋入して、完全に固定しているからです。
このため、入れ歯のようにぐらつく、長期間使用している間にゆるんでしまう、などということは起こりません。
ただ天然歯と同様に噛むことができるわけですから、普段から噛む力が強い人の場合、かえって力がかかりすぎるという例がまれに見られます。
この場合は、人工歯冠を壊さないために、陵合力を測定する装置であらかじめテストしておき、力を加減していただくように、歯科医師が指導することもあります。
また、睡眠中に無意識に歯ぎしりや食いしばりをする癖のある人の場合は、夜寝る前にプラスチック製の薄いマウスピースを装着していただくこともあります。
いずれにせよ、どんな食べ物でも自由自在に噛んで食べられるというのは、人生の喜びのなかでも最大のものの一つでしょう。
前記のように、歯槽骨にぴったりと結合した人工歯根の上に支台部と人工歯冠が固定されているため、入れ歯のように、ぐらつき、がたつき、外れるという心配は皆無です。
総入れ歯の場合などは、食事やおしゃべりをしている最中に外れそうになったりします。
私も患者さんから、「くしゃみをした途端に入れ歯が飛び出してしまい、ひどく恥ずかしい思いをした」という体験談を聞いたことがあります。
他人の目が気にかかる人の場合には、こうした心理面での抑圧や不安は、はたから見ている以上に大きなものです。
こうしたストレスから解放され、楽しく食事ができること、ゆとりをもっておしゃべりを楽しめることなども、インプラントの大きな長所の一つといえるでしょう。
外から見て、きれいな自然の歯に見えるという審美性に優れている点も重要です。
部分入れ歯の場合、クラスプが目立ちますし、総入れ歯ではどうしても不自然さが先に立ってしまいます。
これに対し、インプラントの場合は、人工歯根の上の支台部をいろいろ選択でき、これを歯茎の下に隠れるよう設計できますから、外からは人工歯冠しか見えないように審美的に、自由自在のお好みの人工歯冠を取り付けることが可能です(あまりに真っ白な歯を希望されて、かえって不自然な仕上がりになってしまう人も、なかにはいらっしゃいますが)。
健康願望の強いアメリカでは、いまやインプラントが歯科補綴(ほてつ)治療の主流となっていますが、この審美性の高さが大いに受けているからではないかと思います。
なぜかというと、ビジネス大国のアメリカでは、健康であることは、「自己管理ができる人」(すなわち組織管理ができる人)と評価されます。
だからこそ外見にこだわり、健康のシンボルである白い歯、自然の歯(に見える)、インプラント治療へのニーズが高くなっているのではないでしょうか。
インプラントは、天然歯と同じように歯槽骨のなかにしっかりと埋植されています。
したがって、岨畷する度に、陵合力がインプラントを介して、直接歯槽骨に伝わります。
入れ歯を長く装着していると、持続的な圧迫により歯槽骨が毎日少しずつ吸収され続け、最終的にはほとんどなくなり、顔がくぼんで老けた様相にかわってしまいます。
インプラントの場合は口腔ケアをしっかりと行い、インプラント周囲炎を予防すれば、歯槽骨の吸収を防いで健常な状態が維持することができ、いつまでも若々しい顔でいられます。
さて、ここまではインプラントの長所をあげてきましたが、それではインプラント治療はパーフェクトといえるのでしょうか?残念なことに、インプラントといえども完全無欠の治療法とはいえません(現時点での歯科補綴治療としては、ベストの手段であると私は考えていますが)。
それでは、インプラントの短所とは何でしょうか。
第一にあげられるのは、治療期間が長くかかるという点でしょう。
一般的な例でいうと、人工歯根が歯槽骨と結合する期間だけみても、上顎の場合は約六か月、下顎の場合は約三か月が必要とされます。
また、厳密な診査・診断と治療計画にも十分な時間が必要です。
これほどまでに時間をかける必要があるのは、インプラント治療が「外科手術と(審美)補綴治療」の両者が必要であると同時に、「人工臓器」の性格をもっているからです。
第一章でも述べましたが、口のなかの歯槽骨に、生体とは違う物質(異物)を埋め込むわけですから、生体に拒否反応が起こってはなりません。
前記のとおり、チタンという物質は生体になじみやすい特質をもっているため、この心配はありませんが、それでもチタン製の人工歯根が歯槽骨と完全に結合するには時間がかかります。
そして完全に結合したことを確認してから、支台部、そして人工歯冠を取り付けるという手順になります。
個人差はありますが、平均すればおおよその目安は四?八か月の治療期間となります(ただ、現在では「即時インプラント」という新しい手法が開発されていますので、症例によっては一日で治療が完了することも可能になってきました。
インプラントを希望される患者さんのすべてが、この治療を受けられるわけではありません。
糖尿病・腎(じん)不全・肝炎・心臓病・ぜんそく・リウマチ・骨粗潅症(こつそしょうしょう)・高血圧・妊婦さんなどで、病気の程度や全身の状態によって、手術に危険をともなうおそれがあるときには、治療ができないことがあります。
これはなにもインプラントだけでなく、抜歯などの口腔外科手術を受ける患者さん全般にあてはまることです。
既往症(過去にかかったことのある病気)の場合でも、現在治療中の病気でも、気になることがある人は、包み隠さず必ず主治医にご相談ください。
自然の歯には歯根膜があります。
この膜はたいへん重要な働きをしています。
噛んだときにこの膜がクッションの役目を果たすのです。
このため、強く噛んでも、膜が衝撃力をカバーしてくれます。
また、歯根膜には三叉(さんざ)神経が分布しており、触覚・痛覚・温覚・圧覚などを感知し、強く噛みすぎるのを防ぎます。
しかし、人工歯根には歯根膜の機能は付いていません。
そのため、前記のように強く噛みすぎるということが起こるのです。
また、人工歯根の周囲が細菌感染をしても、痛覚がないため炎症に気がつかずに放置してしまうケースもあります。
のちほど第五草で詳しく触れますが、「インプラント周囲炎」を起こさないためにも、プラークを残さないように、毎日のお手入れ(口腔ケア)が重要なポイントになります(これは何もインプラントに限ったことではなく、天然歯の場合も同様です)。
インプラント治療後の定期検診が重要になるのは、こうした理由からです。
前にも触れましたが、インプラントにかかる費用は高額です。
健康保険がきかない自由診療のため、医療機関によってばらつきがあります。
上部構造を含めて一本のインプラントでおよそ三○万~五○万円前後が目安となるのではないでしょうか。
ただし、上部構造をどの程度審美的につくるか、各種診査法・治療法・オプション手術の有無などによりさらに費用も変わってきますので、詳細は各医療機関にお尋ねください。
仮に、治療費が一五○万円だったとしましょう。
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